Q7:将来認知症等で判断能力が不十分になった時の財産管理が不安です。

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Q7:将来認知症等で判断能力が不十分になった時の財産管理が不安です。

このような時は「任意後見制度」を活用できると思います。

「認知症」等への対応策の一つとして「後見制度」があります。

「後見制度」とは、判断能力が不十分な人を保護・支援するための制度で、「法定後見」「任意後見」の二つの制度があります。

①法定後見:
既に判断能力に支障がある方に対して、親族等の申し立てにより家庭裁判所が職権で成年後見人等を選任します。

②任意後見:
ご本人に判断能力がある時点で、ご自身が「契約」により、特定の個人に認知症発症等により判断能力が低下した後の療養看護や財産管理を委任します。

今回のご質問のケースの場合、②の「任意後見」の利用が考えられます。
任意後見契約」は公正証書で締結する必要があります。

この任意後見契約には次の三つの類型があります。

(1)将来型
今は判断能力に問題はないが、将来の判断能力が不十分になる時に備え締結するもので、典型的な任意後見契約の類型です。

(2)移行型
現在は判断能力はあるが身体等が不自由なため、まず当面の自己の療養看護や財産管理について「委任」し、且つ、判断能力が不十分になったときは速やかに「任意後見」に変更できるよう、「委任契約」と「任意後見契約」を同時に締結するものです。
「任意代理の委任契約」から「任意後見契約」に「移行」するので「移行型」と呼ばれます。

(3)即効型
既に軽度の認知症等があるものの、任意後見契約を締結できる程度に判断能力を有している状態で契約を締結し、直ちに任意後見受任者が、任意後見契約の効力を発生させるための手続を行う場合に利用されます。ケースとしては稀です。

任意後見契約には、公正証書の作成や登記のための費用等が発生します。

概要は以下の通りです。
①公正証書作成基本料 11,000円
②登記嘱託手数料 1,400円
③登記所へ納付する印紙 2,600円
④正本等の証書代、送付代 25,000円前後
などです。

以下に
上記3類型の特徴と問題と思われる点、およびその防止策を簡単に整理しました。

将来型

移行型

即効型

特徴

今は判断能力に問題はないが、将来の判断能力が不十分になる時に備え、「任意後見契約書」を締結する。

現在は判断能力はあるが身体等が不自由なため、まず当面の自己の療養看護や財産管理について「委任」し、且つ、判断能力が不十分になったときは速やかに「任意後見」に変更できるよう、「委任契約」と「任意後見契約」を同時に締結する。

既に軽度の認知症等があるものの、任意後見契約を締結できる程度に判断能力を有している状態で「任意後見契約」を締結し、締結後直ちに任意後見受任者が、任意後見契約の効力を発生させるための手続を行う。

問題点

任意後見受任者が委任者本人との日頃の連絡を取らず、本人の判断能力を把握できず、家庭裁判所への後見監督人の選任申し立てが遅れ、本人保護に欠けるおそれがある。

委任契約の受任者が、委任者の判断能力低下を知りながら、後見監督人の選任申し立てを怠り、委任契約の代理権を濫用するおそれがある。

任意後見契約時の委任者の判断能力の有無の判断が、報酬の有無等争いの原因となる

防止策

任意後見契約とともに、代理権の伴わない「見守り」等の契約を締結する。

後見契約に先んじる委任契約について、①委任契約の代理権を最低必要限度に狭める。②受任者を複数にし共同代理の形をとる。③受任者を監督する第3者を設定した3者契約にする。

公証人において、本人はもとより、医師等との面談を実施し、本人の意思能力の有無を確認する。

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