行政書士 江川 健一
コンフィアンサ行政書士法務事務所

Q4:「相続させる旨の遺言」とは?「遺贈」とは?

Q4:「相続させる旨の遺言」と「遺贈」という言葉を聞きました。具体的に何が違うのでしょうか?

「相続させる旨の遺言」は「特定財産承継遺言」と呼ばれ、法定相続人間での「財産分与を指定」することに対し、「遺贈」とは遺言で遺産を誰かに分け与えることで、遺贈対象者(「受遺者」)は法定相続人に限らずだれでも指定することができます。

同じようなことに思われるかもしれませんが、対象者や移転登記手続き、また放棄の手続き等で違いがあります。さらに相続財産に農地がある場合も手続きに違いが発生する場合がります。(最後に表にまとめました)。

一概にどちらがいいかとは言えませんが、法定相続人に対して相続遺産を指定するのであれば「相続させる旨の遺言」の方が相続手続きはスムーズにできると思われます。

一方、法定相続人以外の人に遺産を分与するときは「遺贈」しか方法がありません。

また、「相続させる旨の遺言」で指定された内容を相続したくない場合は、手続きとしては当該財産のみを放棄することはできず、この場合「相続」すべてを放棄することになりますが、他の遺産を承継することはできません。(推定相続人に「遺贈」の場合は「遺贈分のみの放棄」は可。但し、包括遺贈の場合は「相続させる遺言」と同じ)

この辺りの事を参考に「相続させる旨の遺言」にするか「遺贈」にするか決める必要があると思います。

以下、簡単に違いをまとめてみました。ご参考にしていただければと思います。

 

相続させる遺言

遺贈

備考

対象者

法定相続人のみ

法定相続人に限らずだれでも。

法定相続人以外の人に財産を与えるには遺贈でしかできない。

登記手続き

当該相続者又は遺言執行人が単独で手続可能

受遺者と共同相続人または遺言執行人との共同申請

遺贈の場合、共同相続人の協力が必須

放棄

当該財産のみを放棄することはできず、「相続」すべてを放棄する必要あり。(相続時から相続人とならない)

いつでも放棄できる(但し、包括遺贈の場合は左記と同じ)

 

農地の相続

農業委員会等の許可は不要

農業委員会等の許可は必要。

包括遺贈又は法定相続人に対する特定遺贈の場合は農業委員会等の許可は不要

CONTACT

携帯用QRコード

QRコード
携帯のバーコードリーダーでQRコードを読み取ることで、携帯版ホームページへアクセスできます。
PAGE TOP